妖怪キッズ
安倍晴明(読み方:あべのせいめい)の子供向けイラスト

せいめいさんと星のこえ

安倍晴明・あべのせいめい
7-12歳向け安倍晴明のお話
壱
はじまり

安倍晴明って?

京都きょうとの神社じんじゃで、星ほしを見みるのが好すきな子こが、不思議ふしぎな気配けはいに出会であいます。むかしの陰陽師おんみょうじ、安倍晴明あべのせいめいにまつわる静しずかな物語ものがたりです。

弐
おはなし

お話

はじまり

秋あきの夕方ゆうがた、京都きょうとの町まちにきんもくせいの匂においが流ながれていました。小学しょうがく三年さんねんのみおは、星ほしの名前なまえを覚おぼえるのが好すきです。けれど、その日ひは学校がっこうで友ともだちに言いいすぎて、胸むねがちくりと痛いたんでいました。

帰かえり道みち、みおは晴明神社せいめいじんじゃの前まえで足あしを止とめました。石いしの鳥居とりいは夕日ゆうひを受うけてほのかに赤あかく、境内けいだいの砂利じゃりはふみしめるとさくさく鳴なりました。手水ちょうずの水みずに指ゆびをひたすと、ひやりとして、気持きもちの中なかまで静しずまりました。

そこには、五芒星ごぼうせいの印しるしがありました。みおがじっと見みていると、細ほそい風かぜがすうっと吹ふき、紙かみのこすれるような音おとがしました。

安倍晴明 のシーン 1

ある日のできごと

「星ほしは声こえを荒あらげぬものです」

みおがふりむくと、古ふるい白しろい着物きものの男おとこの人ひとが立たっていました。顔かおは月つきの光ひかりみたいにおだやかで、袖そでの先さきが風かぜもないのに少すこしゆれていました。

「だれですか」

みおが小ちいさな声こえで聞きくと、その人ひとはにこりとしました。

「むかし、天文てんもんや暦こよみを読よみ、宮中きゅうちゅうで祓はらいをつとめた者ものです。名なは安倍晴明あべのせいめいと伝つたわっています」

みおは思おもわず息いきをのみました。図書館としょかんの本ほんで読よんだ有名ゆうめいな陰陽師おんみょうじです。式神しきがみを使つかい、物怪もののけや怨霊おんりょうを鎮しずめたと語かたられる人ひと。けれど目めの前まえの晴明せいめいは、こわい妖怪ようかい退治たいじの人ひとというより、夜よるの空そらに耳みみをすます人ひとのようでした。

安倍晴明 のシーン 2

晴明せいめいが袖そでをひとふりすると、境内けいだいの落おち葉ばが五いつつ集あつまり、小ちいさな紙かみの鳥とりのように舞まいました。

心こころ通かようとき

「式神しきがみですか」

みおが目めを丸まるくすると、晴明せいめいは首くびを少すこしかしげました。

「後のちの世よの語かたりでは、そう呼よばれることもあります。目めに見みえぬ気配けはいを整ととのえる小ちいさな使つかい、と思おもえばよいでしょう」

紙かみの鳥とりはみおの肩かたにとまり、ふわりと温あたたかでした。みおは今日きょうのことを話はなしました。星座せいざの名前なまえをまちがえた友ともだちに、「そんなことも知しらないの」と言いってしまったこと。友ともだちの顔かおがくもったこと。ごめんねが喉のどで止とまっていること。

安倍晴明 のシーン 3

晴明せいめいは空そらを見上みあげました。西にしの色いろはだいだいから藍色あいいろへ変かわり、一番星いちばんぼしが針はりの先さきほど光ひかっていました。

「暦こよみを作つくる者ものも、占うらなう者ものも、まず空そらをよく見みます。よく見みれば、雨あめの前まえの雲くもも、人ひとの心こころのかげりも、少すこしは知しれます。知しることは、いばるためではありません」

その言葉ことばは鈴すずの音ねみたいに小ちいさく、でも胸むねの奥おくで長ながく残のこりました。

ふりかえって

「では、どうしたら」

みおが聞きくと、晴明せいめいは地面じめんに指ゆびで五芒星ごぼうせいをなぞりました。線せんはすぐ砂利じゃりにまぎれましたが、みおには淡あわい光ひかりが見みえた気きがしました。

「明日あしたの朝あさ、同おなじ空そらを見みた話はなしから始はじめなさい。言葉ことばは橋はしにもなり、壁かべにもなります。橋はしの方角ほうがくを選えらぶのです」

安倍晴明 のシーン 4

風かぜがもう一度いちど吹ふきました。きんもくせいの匂においが濃こくなり、遠とおくで自転車じてんしゃのベルがちりんと鳴なりました。みおがまばたきすると、晴明せいめいの姿すがたは薄うすい月影つきかげのように消きえ、紙かみの鳥とりも一枚いちまいの落おち葉ばに戻もどっていました。

次つぎの朝あさ、みおは学校がっこうの門もんで友ともだちを待まちました。空そらは水色みずいろで、白しろい雲くもがうすくのびていました。

「昨日きのうはごめんね。今度こんど、いっしょに星ほしの図鑑ずかんを見みない」

友ともだちは少すこし驚おどろいて、それから笑わらいました。みおの胸むねの中なかで、見みえない橋はしがそっとかかった気きがしました。夕方ゆうがたになると、神社じんじゃの方ほうから紙かみのこすれるような音おとが聞きこえたようでした。

安倍晴明 のシーン 5
参
まめちしき

おもしろい豆知識

  1. 安倍晴明あべのせいめいは、平安時代へいあんじだいの陰陽師おんみょうじとして史料しりょうに名なが見みえます。

  2. 陰陽師おんみょうじは、天文てんもんや暦こよみ、占うらない、祓はらいを宮廷きゅうていで行おこないました。

  3. 式神しきがみは、説話せつわの中なかで術者じゅつしゃに仕つかえる不思議ふしぎなものとして語かたられます。

  4. 晴明神社せいめいじんじゃは京都きょうとにあり、安倍晴明あべのせいめいをまつる神社じんじゃとして知しられます。

大切なこと

星ほしを読よむように、人ひとの表情ひょうじょうや小ちいさな沈黙ちんもくにも耳みみをすますと、言葉ことばはやわらかく変かわります。知しっていることは、だれかを照てらす小ちいさな灯あかりにもなるのかもしれません。

肆
きをつけて

気をつけること

神社じんじゃで紙かみの音おとがひとりでに鳴なったら、すぐ追おわずに一礼いちれい。式神しきがみは礼儀れいぎを見みています。

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