はじまり

ある夏休なつやすみの日ひ、小学しょうがく三年生さんねんせいのゆうた君くんは、近ちかくの田たんぼを探さが検たんけんしていました。田たんぼの中なかは緑みどり色いろが一いっ面ぺんに広ひろがり、風かぜがさわやかに吹ふいています。突然とつぜん、ゆうた君くんは何なにか光ひかるものを見みつけました。それは、きれいな赤あかい玉たまでした。

展開

ゆうた君くんが玉たまを拾ひろうと、急きゅうに辺あたりが光ひかり輝かがやき、目まの前まえには九尾きゅうびの狐きつねが現あらわれました。狐きつねは美うつくしい白しろい毛けでおおわれ、尾おが九きゅうつに分わかれています。「ありがとう、この玉たまは私わたしの大切たいせつなものなのです」と狐きつねは言いいました。

ゆうた君くんは驚おどろきましたが、怖こわくはありませんでした。「どういたしまして。」と答こたえると、狐きつねは微笑ほほえんで、「そのお礼れいに、君きみにちょっとした魔法まほうを見みせてあげましょう」とささやきました。

クライマックス

狐きつねがしっぽを振ふると、田たんぼの稲いねが風かぜに舞まい、まるで踊おどっているかのようになりました。そして、空そらにはたくさんの星ほしが輝かがやき、昼間ひるまなのにまるで夜空よぞらのようでした。ゆうた君くんはその美うつくしさに目めを見み張はりました。

「これからもこの田たんぼを大切たいせつにしてね。」と狐きつねは言いい、ゆっくりと消きえていきました。ゆうた君くんは狐きつねの言葉ことばを心こころに刻きざみました。

結末

ゆうた君くんは家いえに戻もどり、今日きょうの出来事できごとを家族かぞくに話はなしました。家族かぞくは驚おどろくと共ともに、田たんぼの大切たいせつさを改あらためて考かんがえました。これからも自然しぜんを大切たいせつにしようと、みんなで話はなし合あいました。その夜よる、ゆうた君くんは狐きつねの夢ゆめを見みました。夢ゆめの中なかで、狐きつねはにっこり微笑ほほえんでいました。それは、ゆうた君くんの心こころにずっと残のこる特とく別べつな思おもい出でとなりました。