ことふるぬしの
ことふるぬしは、忘れられた箏の妖怪です。夜に不思議な音を鳴らして、自分の存在を伝えます。
ある日、小学一年生のゆうた君は、おばあちゃんの家に遊びに行きました。おばあちゃんの家には、古い箏がありました。ゆうた君はこの楽器に興味を持ち、「おばあちゃん、これは何?」と尋ねました。
おばあちゃんは微笑みながら、「これは箏という楽器よ。でも、長い間使っていないから、音も出なくなってしまったね。」と答えました。「昔はとても美しい音色を奏でていたのよ。」
その夜、ゆうた君は不思議な音で目を覚ましました。音の出どころを探すと、古い箏が一人で弾いているではありませんか。その箏には、小さな目と口が現れ、糸は髪のように揺れていました。
ゆうた君は驚いて「あなたは誰ですか?」と訊きました。すると、箏は優しい声で答えました。「私は琴古主。忘れられた音を持つ箏の妖怪なのです。昔のように人々に音色を聴いてほしいと思っているのです。」
ゆうた君は「もう一度音を出せるように手伝ってあげるよ。」と言いました。琴古主は嬉しそうに微笑みました。
翌日、ゆうた君はおばあちゃんと一緒に箏を修理しました。糸を張り直し、丁寧に掃除をすると、箏は再び美しい音色を奏で始めました。琴古主も満足そうに、「ありがとう。これでまた、音楽を楽し[たの]むことができるよ。」とありがとうを伝えました。
その後も、ゆうた君はおばあちゃんの家で定期的に箏を弾いて、琴古主と友達になりました。琴古主もいつまでも箏の音色を守り続けました。
琴古主は、日本の伝統楽器の箏から生まれた妖怪です。
琴古主は、忘れられた楽器に魂が宿った姿です。
昔の日本では、使わなくなった道具が妖怪になると言われていました。
忘れられた物にも大切な歴史や思いが込められています。それを大事にすることで、新しい発見や友達ができるかもしれません。
夜に不思議な音を聴いたら、それは妖怪のメッセージかも。静かに耳を澄ませてみよう。
このページは5-10歳のお子様におすすめです
🎨 かわいい妖怪と一緒に楽しく学ぼう!